プログラム紹介

講義

加藤 文元 先生 熊本大学大学院自然科学研究科理学専攻数理科学講座 教授
/代数幾何学・数論幾何学

二項定理から始まる数学

高校で習う「パスカルの三角形」は、自然数べきの二項係数を列べて得られます。これを拡張して「パスカルの半平面」にすると、負べき も含んだ二項定理と関係します。同じように分数べきや実数べきの二項定理にも対応する「パスカルの半平面」があり、それに対応した二 項定理があります。二項定理の汎用性はとても高く、これを基軸に数学の幅広い分野へ出発することができます。数論・関数論をも含んだ 多様な数学の話題を、二項定理との関わりで紹介します。

桂木 洋光 先生 名古屋大学大学院環境学研究科 准教授/ソフトマター地球惑星物理学

つぶつぶの物理

物質は固体・液体・気体の三態を取り得るがいずれにしてもミクロに見ると原子・分子という構成単位を持っている。しかし、固体・液体・気体は通常「連続体」と呼ばれ、その力学的性質は原子・分子の存在を意識しない連続体力学を用いて理解されることが多い。これは、連続体を構成する原子・分子の数が膨大であるために逆にその個性が没してしまうためである。一方、我々の身の回りには砂場の砂粒や河原に転がる石ころ、食卓の砂糖や塩などマクロな構成粒子による「つぶつぶ」の集合体として表現される物質(状態)も多く存在する。このようなつぶつぶの集団である「粉体」は自然界の至る所に普遍的に存在し直接観察も容易であるが、構成粒子の個性の影響を強く受け、その挙動は複雑で多様となる。粉体が示す多様な現象を従来の連続体力学で説明することには限界があり「粉体物理」は未だ完成していない。講義では粉体物理の不思議さ、面白さ、難しさとその様々な応用可能性を紹介する。

伊藤 浩史 先生 九州大学大学院芸術工学研究院 助教/生物リズム

体内時計

ついつい夜更かしして朝起きれない人はいませんか?体内時計が狂っているなと感じることは高校生にはよくあることです。これは外界の昼夜のリズムと体内時計のリズムの同期がうまくいっていないためです。人間の体内時計はどうして昼夜のサイクルに同期できるのでしょうか?このような問いに対して、数理科学と生物学が双方からアプローチが試みられてきました。同期現象に関する数理科学は非線形動力学という分野で盛んに研究され、体内時計への応用というレベルを超えて深い関心が持たれています。また生物学者は体内時計の実体がどこにある何という物質なのか?という問いに対して取り組んできました。この問題はダーウィンも関心を持っていたくらいの一級の難問ですが、21世紀に入っていくつかの重要な結果が得られています。数理と生物学が交差する、体内時計の研究現場を皆さんと一緒にのぞいてみたいと思います。

スタッフ企画

セミナースタッフによる独自企画です。いくつかのグループに分かれてもらい、そのグループで勝敗を競います。男女、学年、勉強のでき、そんなものは関係ありません。グループでの新しい発想を求めます!みなさんが頭を使って、楽しめて、最後に納得できるものを、現在スタッフで練り上げているところです。乞うご期待!!

夜ゼミ

夕食後に「夜ゼミ」という形で自由に交流する時間が設けられます。講師の先生方や大学生・大学院生を囲んで様々な議論をしたり、高校生同士がお互いに教えあったりできる場です。

参加者発表

参加者のなかで希望した数名が興味のあるテーマについて発表します。ひとりあたり、だいたい5~10 分の時間をとる予定です。テーマは数理科学に関することでも、まったく関係のない趣味に関してでもなんでもOK です。とてもよい機会となりますので、皆さんもぜひセミナーで参加者発表をしてみませんか?

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