開催日程 | 2017年8月11日(祝・金) - 15日(火) |
会場 | 北海道函館市近郊 |
主催 | 特定非営利活動法人 数理の翼 | 後援 | 公立はこだて未来大学
北海道七飯町 |
参加者数 | 高等学校及びそれに準ずる教育課程に在籍する生徒40名程度
大学生または大学院生班長数名 |
講師 | 広中平祐 先生 フィールズ賞受賞者 数理科学振興会 代表理事 |
小久保英一郎 先生 自然科学研究機構 国立天文台理論研究部 教授 東京大学大学院理学系研究科 天文学専攻兼任 | |
河東泰之 先生 東京大学大学院数理科学研究科 教授 | |
作道直幸 先生 お茶の水女子大学 ソフトマター教育研究センター特任助教 | |
寺沢憲吾 先生 公立はこだて未来大学 システム情報科学部 准教授 |
この活動は子どもゆめ基金(独立行政法人国立青少年教育振興機構)の助成金の交付を受けています。
数理科学をはじめとする科学の各分野から、第一線の研究をなさっている著名な研究者の方々を数名招待し、それぞれの専門分野に関する密度の濃い話がなされます。講師の先生方には、高校生だからといって遠慮することの無いハイレベルな講義をして下さるようお願いし、極めて濃密な講義が行われています。
あまり馴染みのない分野もあるかもしれませんが、すべての講義に対して興味を持って聞いてみてください。今までとは違った興味が芽生えたり、もっと数理科学を好きになったりするかもしれません。
講義の内容が十分には理解できないということもしばしばあるかもしれませんが、自分にとって未知なことが沢山ある、ということを認識し、講義をききながら疑問点や興味が自然発生的に湧いてくることを重視しています。
これらの疑問点や興味は、セミナーの中で講師の先生方に直接質問したり、他の参加者と話し合う中で、解消されたり、あるいはより一層深く掘り下げられていきます。
また数理の翼夏季セミナーは30回の開催を超え、過去参加者であった同窓生の中には、既に大学・研究所などで研究職に携わる方も増えてまいりました。そこで、このようなセミナーOB・OGの中からも講師を引き受けて頂いています。
夜の自由時間に参加者が自主的に開くゼミのことです。
数理の翼夏季セミナーでは、プログラムのない夕食後から就寝時間までを、宿泊施設内での自由時間としています。この時間、「夜ゼミ用」として開放している部屋があります。そして、携帯用ホワイトボードを囲んで就寝時間が来るまで白熱した議論が交わすことができます。
夜ゼミは、大学生の班長や、部屋に集まった参加者が自由に開くことができます。ゼミの中身は、昼間の講義についての解説や疑問点に関する夜ゼミがもっともメジャーですがそれだけに留まらず、数学や物理学、生物学などの諸分野について、参加者が日頃考えていることを発表、討論したりするような夜ゼミもあれば、大学生が高校生に大学の研究室の様子を説明する夜ゼミもあれば、自分たちの人生観などについて討論する夜ゼミなど様々で、個々の興味分野について情報を交換・吸収したり、意見を闘わせることがきます。全国から集まった参加者や講師の方々、大学生の班長と様々な人と交流する良い機会です。気軽に参加してみましょう。
数理の翼夏季セミナーは、ただ参加者が受け身になって話を聞くだけのセミナーではありません。参加者主体の活発なやり取りもセミナーの醍醐味の一つです。
参加者発表は、参加者自身がこれまで講師が立っていた場所に立って、自分の研究や普段から考えていることを発表する場です。セミナー期間中に1~2回程度時間が設けられています。事前にスタッフに申し込めば誰でも発表を行なう事ができます。
特に、「人前で自分の考えたことを発表する」機会が日常生活ではあまり与えられていない高校生には、とりわけよい刺激になるようです。「自分なんかが発表しちゃいけないかも……」などと考えず、是非積極的に発表してみて下さい。多いときでは、20人程度の発表があります。発表の内容も、部活等で行った研究の発表から、自分の興味のあるトピックを紹介するものまで様々です。中には、自分の住んでいる地域の紹介や、自らの人生観を語るようなユニークな発表もあり、毎年大盛況となります。
広中平祐先生
小久保英一郎先生
河東泰之先生
作道直幸先生
寺沢憲吾先生
紹介
方程式の代数学的な性質とその解全体が持つ幾何学的な性質との関係を調べるのが、
広中先生のご専門である代数幾何学という分野です。先生は「特異点解消」という手法でこの分野を大きく発展させ、この功績によりフィールズ賞を受賞されました。
また、先生はこの「数理の翼」セミナーの創設者でもあります。数学者の育成にも尽力されている世界的権威の先生と共に、代数学と幾何学が織りなす美しい世界へと足を踏み入れてみましょう。
略歴
1954年 | 京都大学理学部 卒業 |
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1960年 | Harvard Universityより博士号取得 |
1960年 | Brandeis University 研究講師 |
1961年 | 同大学 助教授 |
1963年 | 同大学 准教授 |
1963年 | 京都大学理学研究科より博士号を取得 |
1964年 | Columbia University 教授 |
1968年-1992年 | Harvard University 教授 |
1970年 | フィールズ賞 受賞 |
1975年-1988年 | 京都大学数理解析研究所 教授 |
1975年 | 文化勲章 受章 |
1980年 | 第1回数理の翼夏季セミナー 開催 |
1983年-1985年 | 京都大学 数理解析研究所 所長 |
1984年 | 財団法人 数理科学振興会設立 代表 |
1991年 | 京都大学 名誉教授 |
1992年 | Harvard University 名誉教授 |
1996年-2002年 | 山口大学 学長 |
2002年 | 山口大学 名誉教授 |
2004年 | レジオンドヌール勲章 受章 |
2008年-2010年 | Seoul National University 客員教授 |
紹介
現在、太陽系の外にも、恒星と惑星からなる系が続々と観測されており、多様な惑星系への理解が課題となっています。小久保先生は惑星系形成論がご専門の理論天文学者です。惑星系ができあがる様子をシミュレーションで検証し、その背景に潜む物理的な素過程に関する理論を構築されています。実験による立証ができない、宇宙という極めて大きな謎にどのように取り組んでいるのでしょうか?心躍る研究の最前線を覗いてみましょう。
略歴
1995年 | 東京大学教養学部基礎科学科第二 卒業 |
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1997年 | 東京大学大学院総合文化研究家広域科学専攻 修了 |
1997年-2000年 | 日本学術振興会特別研究員 |
2000年 | 国立天文台理論研究部助手 |
2006年 | 国立天文台理論研究部准教授 |
2012年 | 自然科学研究機構 国立天文台理論研究部 教授 /東京大学大学院理学系研究科 天文学専攻兼任 |
紹介
河東先生のご専門は作用素環論です。作用素環論とは量子力学に代表されるような様々な物理学の背景にある数学の分野で、高校では触れることのない無限次元の空間の性質を表現することができます。解析学、代数学、幾何学と幅広い数学の分野と関連しています。また、先生は高校生の時に第1回数理の翼夏季セミナーに参加され、講師としても複数回夏季セミナーに参加されています。世界で活躍する大先輩のお話をどうぞお楽しみに!
略歴
1985年 | 東京大学理学部数学科 卒業 |
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1986年 | University of California, Los Angeles 修士号取得 |
1989年 | University of California, Los Angeles 博士号取得 |
1990年 | 理学博士 (東京大学) 取得 |
1992年 | 東京大学大学院数理科学研究科 助教授 |
1999年 | 東京大学大学院数理科学研究科 教授 |
2011年4月-2012年3月 | 京都大学数理解析研究所国内客員教授 |
2011年 | 東京大学高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 (WPI) 上級科学研究員 (併任研究員) |
紹介
プラスチックやゴムにゲル、実に多様な性質を持ち生活の中で幅広く使われているポリマー材料。ポリマー材料の裏には数理科学が絡んでいることを知っていますか?先生は解析計算や数値計算を武器に物性物理学から素粒子物理まで幅広い分野で活躍されている理論物理学者です。理論物理学の視点からポリマー材料を解析すると何が生まれてくるのでしょうか?ポリマー材料と数理科学が織りなす世界を楽しんでください。
略歴
2006年 | 京都大学理学部卒業 |
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2008年 | 京都大学大学院理学研究科化学専攻修士課程修了 |
2009年 | 日本学術振興会特別研究員(DC2) |
2012年 | 京都大学大学院理学研究科物理学・宇宙物理学専攻博士課程修了 |
2012年 | 東京大学理学系研究科物理学専攻 特任研究員 |
2013年 | 日本学術振興会特別研究員(PD) (受入機関:理化学研究所) |
2015年 | お茶の水女子大学ソフトマター教育研究センター 特任助教 |
紹介
近年コンピュータの発展はいっそう目覚ましく、私たちは様々な文書データに手軽にアクセスすることが出来ます。しかし、コンピュータのなかった時代に書かれた古典書物はどのようにして扱えばいいのでしょうか?先生は画像処理とパターン認識の技術を駆使して文字の判別さえ難しいような古典書の情報処理を研究しています。高校の授業ではあまり語られない情報処理技術。その世界で実際に手を動かして研究している生の開発者の声を聞いてみましょう。
略歴
1998年 | 東京大学工学部土木工学科卒業 |
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2000年 | 東京大学大学院工学系研究科社会基盤工学専攻修士課程修了 |
2000年 | 日本道路公団技師(土木職) |
2003年 | 公立はこだて未来大学大学院博士後期課程 |
2006年 | 同修了 |
2006年 | 北海道大学博士研究員 |
2008年 | JSTさきがけ研究者 |
2009年 | 公立はこだて未来大学 助教 |
2012年 | 公立はこだて未来大学 システム情報科学部 准教授 |
東京大学大学院
理学系研究科地球惑星科学専攻
修士1年
私は惑星科学を勉強している大学院生です。
惑星のなかでも、とくにお気に入りなのが木星です。なぜなら、木星は太陽系のなかで上品に際立ち、大きくて強そうだからです。
セミナーでは、木星と同じくらいキラキラした高校生たちに会えるのを楽しみにしています。
筑波大学理工学群社会工学類
社会経済システム主専攻2年
陸の孤島つくばで社会工学を学んでいる"ちばらき県民"です。
大学では社会経済システムや企業の経営を数理的アプローチで解決する方法を学んでいますが、最近は情報科学の分野にも興味があります。
高校生にはなかなか縁のない分野を学んでいるので、興味がある人はたくさんお話ししましょう!
東京大学工学部機械工学科3年
宇宙開発の話が好きな機械系の大学生です。
ものづくりの技術を磨きながら宇宙開発に関われないか模索しています。ヒトが宇宙に恒久的に住める世界を作りたいと考えています。
宇宙開発に興味がある人はぜひ話しかけてください。皆さんと会えるのを楽しみにしてます。
東京大学理科I類2年
参加者担当の布谷です。
大学では物理を中心に勉強していて、最近はプラズマに興味を持っています。僕は今でも、このセミナーを通じて出会った仲間たちと、刺激し合いながら一緒に学んでいます。
みなさんも、人生を変える出会いや体験を、楽しみにしていてください。